北九州の通なハナシ「北九ツウ -KITAQTSU-」

「美しさ」という角度。フォトグラファー 木寺一路」 「美しさ」という角度。フォトグラファー 木寺一路」

「美しさ」という角度。フォトグラファー
木寺一路
Kidera Kazumichi

誰も予想できない斬新な視点から観るモノすべてを美しく切り撮るフォトグラファーの木寺一路さん。
"見所ツウ"でもある木寺さんに、知られざる北九州の魅力や見所などを語っていただきました。

誰も予想できない斬新な視点から観るモノすべてを美しく切り撮るフォトグラファーの木寺一路さん"見所ツウ"でもある木寺さんに、知られざる北九州の魅力や見所などを語っていただきました。

柔らかいよりもカッコイイ感じ。

今回は北九州にあるドボク構造美を中心に撮影しました。僕にとって北九州のイメージは、柔らかいというよりはカッコイイ感じ。炭鉱と工業で栄えてきた街らしく、どこか荒っぽく無骨な男気を感じます。僕自身の出身は佐賀県ですが、学生時代はずっと北九州に住んでいましたし、写真の修行をしたのも独立して自分のスタジオを作ったのも北九州ですから、もう故郷よりも長いですね。
この街を撮ることが決まった時、今回はあえてカッコよく撮ろうと思いました。この写真、ザラっとした感じに見えると思いますが、画像処理ではなくアナログな手法で焼き込み、フィルムっぽい雰囲気にしました。頭の中のイメージは、モノクロというよりも色を全て消した感じです。
僕が写真を始めた頃はまだフィルムの時代で、一枚ずつ暗室で焼く事から始めたせいかモノクロは好きですし色があるとしっくりこないものも多い。写真の形をスクエアにしたのは、直感というか、縦横も無い感じがいいなと。

インタビュー写真

ある抽象画家のエピソードですが、ある日、面白い絵が描けないと悩んで外に出る。その間に誰かが絵を逆にかけてしまう。戻って来て「なんだ!この凄い絵は!」と驚くみたいな。そういう発見って貴重だと思うんです。写真も発見で、良し悪しは紙一重。よくナナメから見ると言いますが、僕の場合はナナメよりも裏側、反対側から被写体を見るイメージですね。反対から見ると面白い。個展でもわざと天地逆で出すこともありますし。単に「普通だね」って言われると悲しいというのもあるかもしれないです。

インタビュー写真

「いいところ」を見つけ出す。

写真って、キレイに写さないといけないとかいろんな考え方がありますが、僕は「その人にとっての美しさ」でいいと思っています。醜いものほど美しいと感じる人もいるだろうし、誰かがヘタだ!って言ったものが自分にとっては良く見えることもある。人によっていろいろあるから面白い。写真にも一応、黄金比みたいな"正解"はありますが、それにぴったりと重なるように撮れた写真は面白く感じなかったりもします。

視点を変えると、違った面白さを発見することも多いです。今回の写真も、さらにトリミングしたらもっと面白いなと思うものもあったのですが、あまりやり過ぎると理解を得られないものになってしまいますから(笑)でも本当は、もっと攻めたいなとも思います。
構造物だけじゃなくて風景や人物を撮る時でも、基本的には「いいところ」を見つけ出す。それに尽きます。迷いはあまりなくて直感的に撮ってしまうんですが、今回の写真もそのほとんどは1 カットだけです。男性的なイメージのあった街ですが、撮ってみると意外に女性らしさを感じたり、寂しく見える場所がロマンチックに見えたりと、新しい北九州を見つけたような気がします。

インタビュー写真
インタビュー写真

どれだけ尖れるか。オモシロがれるか。

仲間内でもよく話すのですが「キレイな写真が撮れた、ハイ、満足」じゃなくて、もう一歩踏み込んだ面白さを撮ろうとする気持ちは大切だと思っています。踏み込むことで、意外な発見があったり違う面白さが見えてきたり。北九州はその可能性をとても秘めているし、個性の強いこの街をもっと楽しめるきっかけにもなるような気がします。「いかに尖れるか」と言うとちょっと偉そうですが、例えば普段歩く路でも毎回違う路を選んだり、何か発見があるかもと期待しているというか。知らない路を選んで迷う事もありますが、それもまた面白かったりするんです。
今回の写真も、見る人それぞれの視点で自由に解釈してもらえたらいいなと思います。北九州に住んでいる人が「あ、ここだったのか」と見慣れた景色を違う目で見てくれたらすごく嬉しいですし、僕の写真をきっかけに北九州へ"現物" を見に来てくれるのも嬉しい。観光マップには載っていないような場所が、一枚の写真を始まりにしていつか多くの人が訪れる場所になっていったら、カメラマンとしてすごく幸せだなと思います。

インタビュー写真

アナログ写真のように優しい語り口の木寺さん。
もっともっと攻めた写真を撮りたいと強い意気込みを話してくれました。
きっとまた新たな視点を見せてくれるはず。
あなたも、まだ誰も知らない北九州の魅力探しに出かければ、何か面白い発見があるかもしれませんね。

アナログ写真のように優しい語り口の木寺さん。もっともっと攻めた写真を撮りたいと強い意気込みを話してくれました。きっとまた新たな視点を見せてくれるはず。あなたも、まだ誰も知らない北九州の魅力探しに出かければ、何か面白い発見があるかもしれませんね。